(飯高洞窟美術館までのアプローチは、二の滝の項を参照) 洞窟美術館近くの駐車場に車を停め、唐谷を眺める。 遡行記では右岸と左岸のどちらにも山道が伸びているとあるが、左岸(谷の右側)は草が背丈程も生い茂っている。 右岸のローラーリュージュ施設の横を通り抜けて見ると、軽トラックくらいなら通れそうな山道が、谷沿いに伸びていた。 山道を数分歩き、谷に降りる。 程なく小滝の連瀑地帯に入る。 最初のうちは取り立てて難所は無く、滝の右や左を歩けば難なく越えていける。 谷を進むにつれ、小滝の滝壷の色合いがエメラルドグリーンからコバルトブルーへと変わってくる。 そう言えば、大杉谷でも上流にある堂倉滝の滝壷はコバルトブルーなのに、下流の七ツ釜の滝辺りはエメラルドグリーンであった記憶がある。 途中、まったく手が出せない小滝に出遭った。 落差は4m程なのだが、滝壷が深く、また川幅一杯に広がっていて、どうにも取り付きようが無い。 仕方なく右側の斜面(左岸)を登ってみると、幅20cm程の踏み跡を見つけた。 踏み跡をたどって滝の上に降り立ち、遡行を続ける。 再び、難所である。 今度の小滝も落差は小さいが、滝の左右の壁が切り立っており、また例によって、滝壷も背が立つか立たないかくらいの深さである。 今度は左側の斜面を登ってみると、先ほどと同じような踏み跡にたどり着いた。 途中の立ち木に巻きテープが施してあることからして、今は廃道になった登山道であろうか。 途中には炭焼き釜の跡があった。 巻きテープを頼りに上流へと進むと、木々の間から大きな滝が見えた。 上段40m、下段20m、総落差60mの唐谷一の滝である。 下からは小さく見える上段の40mは、末広がりの豪快な斜瀑で、遠目にも水しぶきが激しく上がってるさまが見て取れる。 下段の20mは樋状の斜瀑で、これも盛大に水しぶきを上げながら、美しい滝壷へと滑り落ちている。 まさに文句無しの名瀑である。 |