国道42号線井戸町交差点の近くに、奇岩の名勝・獅子岩がある。 海に吠える獅子の形をした、実に見事な巨岩である。 横にある説明書きを読むと、この岩は大馬の清滝のある、大馬神社の狛犬になっているという。 井戸町交差点から県道52号線に入り、道しるべにしたがって県道156号線へ右折、大馬神社に向かう。 平安時代創建という大馬神社の境内には、杉の大木が鬱蒼と茂っている。 中には幹周り数メートルはありそうな巨木も何本か見うけられる。 参道を進むうち、ほどなく木々の間に清滝が落ちているのが見えた。 谷に入り、ガレ場を乗り越えて滝に近付く。 美しい滝である。 谷から直瀑となって流れ落ちた清らかな水の流れは、一枚岩の上を滑るように落ち、滝壷へ流れ込んでいる。 はるか上に見える上部の直瀑は落差10mほど、下部の斜瀑は20mほどはあろうか。 ここ熊野の地は、日本人の心の原点とも言える、自然信仰が生まれた場所であると言う。 獅子岩やこの清滝を始めとする熊野の美しい自然が、自然を神として崇め奉る心を、育んで行ったのだろう。 |