宮川村大和谷には、かつて三滝と呼ばれる名瀑があった。 三段100mもの落差を誇る、押しも押されもせぬ秀瀑であったのだが、数年前にできたダムの取水により、今はもう跡形も無いという。 水力発電という奴、放射能などと言う物騒なものを撒き散らさない分、原子力発電よりはましだと思っていたが、なかなか無粋な代物のようである。 ところが土地の人から、この三滝の上流にやはり三段になった名瀑があるとの話を聞き、早速行って見ることにした。 滝の名前は正式には「奥三滝」と言うそうだが、今は涸れてしまった三滝と混同され、単に「三滝」と呼ばれることもあるようである。 国道42号から宮川村に入り、ひたすら川を左に見ながら真っ直ぐ走る。 途中崩壊しかかっているという八知山トンネルを迂回して一旦川の反対側へ渡り、また左岸(川の右側)に戻って西に進む。 宮川ダムを通り越して大和谷林道に入り、大和谷橋(通称銀橋)を渡って、かつて三滝があった出合い(谷の合流地点)まで車を走らせると、そこに「三滝1.5km」との看板を見付けた。 車を降りて山道を歩きだす。 比較的整備された登山道である。 40分ほどで取水設備の建物に着いた。 奥三滝を見上げる。 一段目だけで落差50mは優にある大瀑である。 下部の段の水流が水しぶきを上げて落ちるさまも、迫力があって素晴らしい。 一段目を間近で見ようと、登れるところはないかと辺りを見渡すと、対岸に虎縞のフィックスロープを見付けた。 ロープとストックを頼りに、一段目の滝壷へ到着すると、ヒスイ色のカワセミが、私を出迎えてくれた。 |