しばらく戻り、さっきの合流点へ来る。 ふと左の谷川を見ると、右の谷に負けないくらいの水量があるのに気付く。 時刻はまだ10:30である。 少し迷ったが、結局左の谷を登ることにする。 20分ほど登ると、かなり大きな滝の音がする。 「またぬか喜びか」と思いつつ、近づいて見る。 大滝である。 その姿は、記憶にある度会町のサイトの写真とも一致した。 ついに幻の男滝発見のようである。 夢中になって、ふかふかの腐葉土で崩れそうな山の斜面を登る。 気付けば、周りは杉林から自然林に変わっている。 滝に着くと、きょとんとした顔で野生の雄鹿がこちらを見ていた。 人など見たこと無いのだろう。 一瞬の後、鹿は脱兎のごとく駆け出す。 仲間に危険を知らせているのか、しばらく遠くで甲高い鳴き声が聞こえた。 その後は滝の音が聞こえるだけの静寂である。 男滝の上に登り、滝壷を見下ろす。 かなりの落差である。 気付くと、岩に5〜6cmくらいのカエルがへばり付いている。 渓流に住むという、ナガレヒキガエルであろうか。 30分ほどかけて、下山した。 (2002年9月) ※その後、伊勢志摩きらり千選に男滝の記事が掲載された。 それによれば、この滝は男滝ではなく、真の男滝はこれから沢伝いに10分ほど行ったところにある、との話である。 早速きらり千選事務局に電話をかけ、再度男滝の調査に赴くことにした。 (2005年5月27日) |