小黒田谷の不動滝から県道695号奥津飯高線に戻り、右折して川上山若宮八幡宮へ向かう。 広い駐車場に車を停め、案内板を頼りに神社の奥へ進んでいく。 参道には奉納された石灯籠や幟がずらりと並び、この神社が厚い信仰を受けていることをうかがわせる。 社務所の脇を通り抜け、二つ目の砂防ダムのところに差し掛かると、しずめ滝が見えた。 歩道からは余り眺めが良く無いので、一つ目の砂防ダムのところまで戻り、谷に降りて上流へ向かう。 ほどなくしずめ滝が姿を現した。 落差1m程の、広い滝壷を伴った斜瀑である。 この滝壷には、コッテ淵という名前が付いているという。 コッテとは三重の方言で雄牛のことだが、このコッテ淵には、頭が鬼で体が牛の妖怪・牛鬼が住んでいるという言い伝えがあるそうである。 このしずめ滝をはさんで二つの砂防ダムがあるが、もともとこの砂防ダムは、滝の真上に建てられる予定だったようである。 確かに堅い岩でできたこの滝の上にダムを造れば、建設資材は節約できるのだが、余りの無神経さに唖然とする思いである。 牛鬼伝説を守ろうと、若宮八幡神社の方々が力を尽くしてくださったおかげで、幸いにもこの滝と淵は残されることとなった。 目に見えないものの価値が蔑ろにされ易い昨今、淵の底の牛鬼も、さぞ住みにくいと嘆いているに違いない。 (2004年6月9日) |