伊勢市内の滝(4)


飛滝

掲示板で「伊勢市横輪地区のトビ滝」について情報を頂き、向かうことにした。飛滝
松阪からサニーロード(県道169号玉城南勢線)を南下し、横輪口の信号交差点を左折して県道720号横輪南勢線に入る。
横輪川本流にかかる横輪橋、右から入る支流にかかる荒堀橋、再び本流にかかる共栄橋と三つの橋を渡り、しばらく進むと、左から二本目の支流が入って来る。
支流の手前を左折し、北へ走る。
道はアスファルト舗装されているが、辛うじて車が一台通れる程度の広さである。
林道を終点の駐車場まで走ると、「飛瀧大權現・八大竜王供養塔」と書かれた石碑が建っていた。
権現(=飛滝權現)とは、仏が人々を救うために神の形を持ってこの世に現れたもののことであり、修験道で信仰されることが多い。
また八大竜王と言えば雨乞いの神である。
この飛滝も、かつては三重の他の滝と同様、修験道や雨乞いなどの信仰の滝であったことがうかがえる。
石碑をなおも調べたところ、上には降三世明王の種字(仏を梵字一文字で表したもの)が、また裏には大日如来の真言が書かれていることが分かった。
降三世明王・大日如来ともに密教特有の仏である。
密教は修験道と関わりの深い仏教であるから、この滝がかつて修験霊場であったことは確定的であろう。飛滝
林道終点から続く、良く踏まれた山道に入る。
炭焼き釜の跡と見られる石組みがあちこちにあることからして、かつては杣人たちの仕事道であったのだろうが、それにしてはところどころ古い石畳が残っているのは不自然である。
やはりこの道は、修験者道も兼ねていたと考えるのが妥当であろう。飛滝
歩き始めてから20分ほど、前方に飛滝が落ちているのが見えた。
落差5m程の、二条に分かれる分岐瀑である。
右側の流れは、飛滝の名の通り、修行に良さそうな飛瀑となっている。
滝の右には、壊れた社の残骸があった。
プラスチック製の箒や塵取りが散らばっていることからして、最近まで土地の人が熱心に祭っておられたようである。
三重県各地に残る信仰の滝は、修験道の衰退や過疎化の進行などにより、忘れ去られようとしつつあるものが多い。飛滝権現の社
この飛滝も、そのような滝の一つであろう。
「この社に祭られていた仏様は何だったのだろうか。」との疑問が湧いた。
三重の滝に祭られているのは、大抵不動明王ではあるが、石碑の文字からすれば、降三世明王か大日如来であっても不思議では無い。
社の残骸を調べて、飛滝権現のご本尊が何であったのか調べて見たが、仏様の姿は見当たらなかった。
(2004年5月28日)


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