加太不動滝から大日滝への分岐点に戻る。 大日滝の名前の由来になっている大日如来とは、不動明王などと同じく密教や修験道に特有の仏である。 恐らくはこの滝も、加太不動滝と同じく、かつては修行の滝として修験者たちで賑わったことであろう。 谷の対岸(左岸)には、途切れがちではあるが、幅1m程の石組みで造られた遊歩道が付いていた。 江戸時代以前に造られた修験者道を、最近になってコンクリートで補強したもののようである。 飛び石伝いに対岸へ渡り、修験者道を歩く。 長い年月のせいか修験者道は寸断されており、ほとんど廃道に近くなっている。 沢歩きをするよりは遥かに楽ではあるが、気軽なハイキングには程遠いと言えよう。 美しい渓流や小滝(上の写真)を楽しみつつ、数分歩くと大日滝が見えた。 下部に小さな斜瀑を伴った、落差6m程の形の良い直瀑である。 下の斜瀑を越えようと、滝の右側から巻きにかかるが、足場が悪くなかなか越えられない。 「こういうところには大抵固定ロープがあるものだが」と辺りを探すと、茶色く錆びた鉄の針金が四本、上から垂れ下がっているのを見つけた。 針金につかまり、なんなく大日滝の滝壷へ到着する。 滝の水しぶきを浴びて、涼を取る。 エメラルドグリーンの滝壷が美しい。 |