しばらく木梶不動滝を鑑賞した後、鳴滝へと歩き出す。 鳴滝は木梶不動滝からこの木梶林道を2kmほど登ったところにあると言う。 20分ほど歩くと、辺りは杉林から雑木林に変わる。 キワラの滝辺りではまだこれからであった紅葉が、ここまで来ると見頃と言って良いぐらいの色づき具合である。 紅葉の美しさを満喫しつつ、更に20分程歩くと、林道から鳴滝が見えた。 遠目にも豪快な滝である。 木々に隠れてはっきりとは分からないが、かなりの落差があり、水量も多いようだ。 滝への下り道は無いとのことだったが、なんとしても近くで見たくなってしまった。 しかし林道から谷への斜面は恐ろしく急で、ほとんど垂直に近いほどである。 しばらく降りるところは無いかと林道をうろうろしたところ、滝の右手前にある杉林の斜面が比較的なだらかであることに気付いた。 「いける。」 そう思って、なんの道も無い60°程の急斜面を、装備も無しに降りていく。 道は無いと言っても植林された杉林、林業家の方々はこの斜面を苗を背負って降りたはずである。 1時間ほどかけて谷にたどり着いた。 だが、目の前の滝は下半分ほどが岩に隠れてまったく見えない。 「毒食らわば皿まで」とばかり、膝上までジャブジャブ水につかり、谷を登って行く。 鳴滝の前にはついたてのような巨岩があり、真横に回ることで、ようやく全景をカメラに収めることが出来た。 林道に戻ると、あたりは薄暗くなりかけていた。 仕方なく、木梶三滝は次回にまわすことにする。 後ろ髪を引かれるような思いで、谷を後にした。 (2002年10月28日) 木梶林道が開放されたお陰で、鳴滝へのアクセスはかなり容易になった。 林道はダート路だが、比較的整備されており、落石に注意すれば普通車でも充分に通過できるだろう。 数分で激しい水音のする、鳴滝前へ到着する。 落ち口上の駐車スペースに車を停め、前回難儀して降りたところを探そうとすると、踏み跡らしきものを見つけた。 かなり急なものの、木々につかまって降りていくと、10分余りで鳴滝の滝壷に降り立つことができた。 木梶三滝周辺は観光開発され、すっかり様変わりしてしまったが、有難いことにこの鳴滝は、相変わらずの秘境の滝であった。 (2005年6月2日) |