道端に咲いている野あざみの花を楽しみつつ、白糸の滝から駐車場へ戻る。 「頂礼井戸(ちょうらいいど)コース」と書かれた道しるべに従って堰堤上の川原に降り、上流へと進む。 ところどころ浅瀬を渡ったりしながら歩いていくと、前方に深い渕が見えた。 腰上まで水に浸かれば越えられないことも無いが、泳ぐにはまだ早すぎる季節である。 辺りを見渡すと、左岸の上のほうに登山道が見える。 少し川原を戻ったところに、入り口があったようである。 引き返すのも面倒なので、立ち木をつかんで斜面を登り、登山道に入る。 歩き始めてから10分少々、頂礼井戸に着いた。 落差15mの二段に分かれる段瀑である。 滝上の一枚岩で二条に分かれた流れは、上段の滝壷で一つに合わさり、一つの流れとなって落ちている。 頂礼井戸とは変わった名前だが、これはこの滝に、底の無い井戸があるとの伝承が地元に残されているからだという。 「もし井戸があるとすれば、この二つの流れが合わさる上段の滝壷辺りであろうか」と思い、落ち口から覗き込んでみたが、そこからは白く泡立つ水面が見えただけであった。 (2004年5月16日) |