前回の滝見で訪れた大石三滝のある登竜荘から、さらに国道421号線を奥へ進む。 県境近くの峠道に差し掛かり、何度か急カーブを越えると、天狗谷にかかる雲向橋(くもゆきはし)が見えた。 車を近くの路肩に停め、谷を見てみると、右岸に「雲間の滝」との石碑がある。 雨上がりの山には雲とも霧ともつかぬ靄のようなものがかかることがあるが、この滝はそのような時山を見上げると、雲間から素晴らしい姿を現すとのことである。 谷の左岸の踏み跡から山に入る。 道が枝沢に突当ったところで谷に下り、少し歩くと落差10m程の滝である。(右上写真) 無名滝ではあるが、二段に落ちる美しい直瀑で、これを見逃す手は無いであろう。 左岸の山腹を雑木につかまりながら強引に登ると、やがて踏み跡に出る。 この踏み跡を帰路に使ったところ、先ほどの枝沢のところに出るようだが、途中はかなり不明瞭になっている。 踏み跡をたどっていくとやがて谷へ下る。 今度は落差30m程の斜瀑が落ちている。(左写真) これもなかなかの美瀑である。 右岸へと続く踏み跡を登り、滝を巻いて谷に降りる。 しばらく谷歩きをしていると8m程の滝に突当るが、滝の左側が石階段のようになっており、問題なく越えられた。 後はひたすら河原歩きを続け、水量の多い本流を進んでいく。 30m斜瀑から40分程崩れやすいゴーロ帯を登っていくと、かなり見晴らしの良い所に出る。 なおも進んでいくと、上方に30m程の赤茶けた滝が見えた。 これが下界から見える雲間の滝であろう。 源流部ゆえ水量は非常に少ない。 辺りの岩には所々落石によるものと思われる新しい傷があり、少々危険な雰囲気である。 手早く撮影を済ませ、帰途についた。 雲間の滝自体は水量が少なく、落石の危険もあり、余りお薦めはできないが、下流部の無名滝の美しさには目を見張るものがある。 沢登りを楽しむには、うってつけの谷であろう。 (2004年9月22日) |