このページは地元の登山情報を、ごった煮で載せていきます。情報と情報の間にはコラム形式で、私の登山や自然に対する考えも書き込んでいきますので、興味のある方は読んでください。


伊勢志摩の山岳会の紹介
伊勢志摩地方には数は少ないのですが、いろいろな山岳会があります。私の知ってる限りの団体名をここに記載していきます。連絡先やTELもわかるのですが、プライバシーのこともありますので、あえてそれに関しては記載いたしません。もし会員募集のため記載して欲しいとの要望がありましたら、掲示板に連絡をお願いします(南勢テクテク会さんに関しては、ホームページで連絡先を公開されてますので、ここでも記載させて頂きます)。いくつかの団体の会員さんを知ってますが、皆いい人ばかりです。えっ、私ですか?すいません私はどこにも所属してません。

〇テクローかい(伊勢市)
月一でいろんなルートで朝熊山を登っており、会の歴史は20年に及ぶ。朝熊をホームグランドにしてる団体。会員数はたぶん300名を軽く越すでしょうね。会員の主体は中高年で、初心者も気軽に入会できる。朝熊のルート開発にも積極的で(朝熊山のページを参照してください)、一般に知られてルート以外の整備も行っている。夏には夜間登山、日曜日以外のウィークデイ登山もやってる。感心なのは清掃登山もやっていること。偉いねー。口先ばっかりの自然保護を大声で言ってるエコ野朗が多い中、地道にゴミ拾いをしてる団体は無条件に偉い!入会金なし、会費は自由カンパ。

〇南勢テクテク会(南勢町)
志摩半島でも珍しい南勢町主催のNPO団体。南勢町の里山保護、登山道の整備、啓蒙活動・・・etcと多岐にわたっている。会員数350名の大所帯。詳しくは 南勢テクテク会のホームページ をご覧下さい。私は南勢町の山によく登りに行くんだけど、ここが作成した看板には大変助けられました。入会金無し、年会費1500円。
連絡先は 〒516−0109 三重県度会郡南勢町船越1791−2 小山(気付)

〇伊勢山岳会(伊勢市)
ここの活動は大変面白くてオリジナリティ溢れてます。ユニークです。三重県の県境を踏破したり、志摩半島の山を一筆書きのように登ったり(聞くところによると、鳥羽から紀勢町まで行ったらしい)・・・とにかく面白いです。会員数は約40名ぐらいで、オールラウンドに活動してる。入会金2000円、年会費2500円。

〇伊勢勤労者山岳会わかばの会(伊勢市)
この地方の労山です。会員数30名で女性が多い。低山中心。入会金500円、月会費200円、遭難対策費年1500円。さすがは労山、会費が安いねー!

〇松阪山岳会(松阪市)
会の歴史は50年以上。会員数は約30名で平均年齢35歳。。入会金3000円、年会費5000円。

〇松阪山岳会FMC(松阪市)
40歳以上の方専用。会員数は120名で松阪山岳会のOBの方が多い。毎年12月に会員募集してます。ここは遭難救助模擬訓練も行ってるそうです。安心です。入会金無し、年会費2000円、保険料年1000円。

〇松阪勤労者山岳会(松阪市)
ここは啓蒙活動にも力を入れていて、年に何回か一般の人を公募して公開ハイキングをしているとの事。清掃登山も行ってる。偉い!遭難対策基金1000円、会費月1000円。

〇松阪ハイキングクラブ(松阪市)
会員数は55名で、30〜60歳くらい。月一の例会あり。入会金無し。通信費1500円。山行保険料1回100円。

〇玉城山歩会(玉城町)
まだ歴史は2年と浅いが、玉城町の国束山、的山をホームにしてるらしい。低山中心、初心者中心とのこと。もしかして国束山周辺の登山コースの表示を建てたのはここでしょうか。この間国束山の周辺をうろうろしてたのですが、表示があって大変助かりました。入会金無し、会費無し(!)。

〇いせ山楽会
01年7月に発足。会員数32名。50歳60歳が中心です月2回、日帰りで主に鈴鹿・台高方面を歩いているとのこと。山の記録は会報「いせ山楽会マガジン」に掲載しております。HPもあり、そこではマガジンに書かれた記事を、中心に紹介されてます。同じ地元として期待しております。入会希望の方は、いせ山楽会のHPの掲示板にお申し込みください。会費も安くて保険もあるので安心して参加できます。

たぶんこれ以外にも山岳会はあると思いますが、連絡先や会の活動内容等がわからない所が多く、載せるほどの情報がありません。「私はここの会員です。ぜひお宅のホームページで載せて下さい」という方は掲示板に連絡下さい。あくまでも伊勢志摩地方に限ります。三重中部・北部そして紀勢地方は、スペースの都合上載せられませんので、すんません。鈴鹿山系なんていっぱいあるからね。個人的に知りたいのは「伊勢愛山会」さん。どこの山登ってもプレートがある!あと「イセ AOKI」さんのプレートもよく見かけます。この人も地元の登山愛好家の中では有名かつ幻の人です(笑)。どんな人なんだろう。


Q&A 「伊勢志摩の山」ってどこからどこまでの範囲なんですか?

うーんこれが実に難しい。これの定義について詳しくは、伊勢山岳会の福井正身さんが発行された「海を眺める志摩の山24山」にも考察されてます。私の考えよりそちらの方が詳しいです。ぜひお読み下さい。
私自身は「志摩半島」に限定してます。理由は私が住んでいるから(笑)。「伊勢」って歴史的に見れば、三重県のほとんどが入ってしまうんですよ。津とか久居とかもなんせ「伊勢の国」ですから。でも現在「伊勢志摩」ってのは、歴史的な定義ではほとんど使われていない、使われてるのは観光の意味での範囲指定だけです。そうなると伊勢市・鳥羽市・度会郡・志摩郡ぐらいかな。松阪市・多気郡は微妙ですね。これの根拠は現在の三重県が作成してる大まかな地方区分に拠ってます。松阪市・多紀郡は中勢に区分されてます。と言っても私の友人のように、「松阪も伊勢志摩だろう」と言ってる輩もいる。まあ上記の考えは私個人の意見で、「違うんじゃないか」と思われる方もおられるでしょう。厳密な範囲区分は不可能です。
追記:私の友人何人かに聞いてみたところ、そのほとんどが「伊勢志摩国立公園内の山じゃないのか」と言ってました。


●ガイドマップ紹介
三重県の登山のガイドマップは結構出版されてます。でも伊勢志摩の山が載ってるのはごく一部で、載っててもほとんどの本が「朝熊山」しか載ってません。他にもいい山がいっぱいあるんですが・・・、メジャーじゃないって事か。

〇「分県別登山ガイド23 三重県の山」 山と渓谷社 1699円 1966年12月発行
三重県の登山好きならこの本は良く知ってるでしょう。朝熊山・龍仙山・横山・獅子ヶ岳・七洞岳が載ってます。さすがはヤマケイ、地図も内容も詳しい。

〇「マイカー登山 名阪道・・・西名阪道・名阪国道・東名阪道・伊勢道」 山と渓谷社大阪支局編 山と渓谷社 1600円 2000年5月発行。この本結構いいですよ。地図は見やすいし写真も多い。朝熊山・横山・七洞岳が載ってます

〇「アルペンガイド22 名古屋周辺ワンデイハイク」 山と渓谷社 1200円 1995年4月改訂版発行。
現在絶版残念だ。中身はむちゃ詳しいです。獅子ヶ岳載ってます。

〇「名古屋周辺 山旅徹底ガイド 台高/鈴鹿/奥美濃」 日本山岳会東海支部 中日新聞社 1553円 1995年12月発行。モノクロで見にくいです。獅子ヶ岳・七洞岳が載ってます。

〇「続・ひと味違う名古屋からの山旅」 西山秀夫編 七賢出版 1500円 平成7年9月。
牛草山が載ってます。私が迷った直登ルートの事も触れられています。作者の思い入れが滲み出て、この本はひと味違うぞ。

〇「名古屋発 女性と中高年の山歩き」 荻須昭大 風媒社 1340円 1995年5月増補版。
この本は手書きの地図が詳しくて便利でした。朝熊山・青峰山が載ってます。

〇「ウォーキングマップ東海・中部」 法研 1068円 平成8年3月出版。
金毘羅山・磯笛峠が載ってます。イラストマップが面白い。観光客向けで登山のガイドではありません。

〇「JTBの旅ノートPLUS 名古屋発ワンデイ・ハイキング」 日本交通公社 1200円 1995年5月。
朝熊山
が載ってます。地図がカラフルで見やすい。

〇「三重の自然を歩こう」 伊勢文化舎 1000円 2000年2月発行。
「別冊伊勢志摩」の旅クラブシリーズの一冊です。音無山・龍仙山・横山・剣峠・国束山・磯笛峠・朝熊山とあといくつかのハイキングコースが載ってます。地図もカラフルで見やすく、巻末には地元の山岳会の情報、アウトドア・ショップの情報などいろいろ載ってます。これはぜひお買い求めてください。

〇「伊勢志摩ウォーキング50」 伊勢志摩歩く道整備実行委員会編 伊勢文化舎 667円 平成11年4月。
朝熊山(朝熊岳道・宇治岳道・丸山道)・音無山・日和山・樋ノ山・青峰山(新道・旧道)・横山・金毘羅山・磯笛峠・龍仙山・牛草山・宿浦浅間山・田曽浦浅間山・剣峠・鍛冶屋峠・局ヶ頂と志摩のほとんどの山が紹介されてます。ただし地図は結構いい加減なものが多く、実際のルートと違うものがありました。

〇「海を眺める志摩の山24山」 福井正身(日本山岳会・伊勢山の会) 自費出版。
この本はむちゃ詳しい。私の登っていない山もこれで発見しました。とにかく素晴らしい本です。福井さんは地元の「伊勢山の会」の方で、他にも「尾鷲・紀州・熊野の山」「津周辺の山」「度会・大宮・南伊勢の山」「伊賀・名張・曽爾の山22山」「飯高・美杉・松阪の山」とほとんどの三重県の山のガイド・研究書を出しちゃってる人です。たぶんこの人の右に出る人はいないでしょうね。購入希望の方は伊勢山の会に連絡してください。俺のホームページは福井さんの本に比べると・・・ああ恥ずかしい。”まるた”一押しの本です。
昨日御本人さんから御連絡頂いたのですが、今年中に改訂版が出版されるとの事。待ち遠しいです。2002年の3月末からこのホームページを立ち上げたんですが、その間この本に対する問い合わせは5件ありました。「どこに売ってるのか?」「連絡先はどこですか?」と。皆さんもう少しお待ち下さい。
それまで待てない方は、阿児町図書館にあります。ただし貸し出し禁止なのでコピーを取ってもらって下さい。私もコピーしたのを使ってます。

〇「南海の山40山」 伊勢山の会 山の田ぬ木とそのなかまたち  たぬき出版  1000円+税、つまり1050円だ。
とうとう出ました!「海を眺める〜」の改訂版が!しかも数も40山に大幅UP!2003年2月3日発行の最新データ満載です。表紙が阿部憲光画伯の描く・・・んーとこれは志摩の何所なんだろう?写真や地図も「海を眺める〜」に比べて分量が増えて、しかも大変見やすくなりました。
個人的に新しい発見がいっぱいありました。志摩在住の私も知らない山が幾つかあった事です。南勢町の追間浅間山、鳥羽の箱田山、南島町に到っては数知れず・・・ひえええ、お見逸れいたしやしたー!とにかくウチのHPの何倍も濃い本です。伊勢志摩の登山愛好家必読!
購入方法は以下の書店に置いてあります。
  古川書店(伊勢市)  TEL 0596−28−2131
  作田書店パワーマート店(阿児町鵜方3016―4)  TEL 0599−43−4074  ここはレジカウンターに置いてます。
もしくは直接「たぬき出版」に問い合わせてください。
  たぬき出版  〒516−0066  伊勢市辻久留2−1−14  福井敦美方
売り切れる前に買え!もしくは注文しろ!一家に2冊! 

〇雑誌「伊勢志摩 1992年6/7月号 特集 初夏・山へ渓谷へ」
地元の観光雑誌「伊勢志摩」ですが、この雑誌は思い付いたように登山の特集をやってくれます。七洞山をイセ愛山会さんがレポートしてます。地元の山岳会の紹介もあります。

〇雑誌「伊勢志摩 1996年8/9月号 特集 渓流でひんやり夏休み」
この号は、朝熊山南麓の奥河内渓谷(テクローかい)、ひもろぎ小渓谷(イセ愛山会)の2ヵ所をレポートしてます。


私が山岳会に所属しない理由

私は今までほとんど山岳会というものに所属した事がありません。学生時代に初めて山に行った時から、登山用品販売会社に就職するまでは、友人個人に教えて貰ってました。就職してからは会社の先輩らに冬山・クライミングまで教わりました。あくまでも個人に教えてもらってたんですよ。そこには6年間在職したんだけど、大抵の技術は教わりました。
愛知県の江南の店に勤務してる時、よく「会報を置かせて下さい」と言って持ってこられる方が多かった。でよく持ってこられる常連のI山登山会の方が、いきなり新しい会報を持ってきて、「すいません。この前持ってきたのとは違うんですけど、これも置いて貰えますか?」と言われた。よく見ると会報の名前が「I倉登山会」になってる。「あれえ、会を変わったんですか?」と私が言うと、「実は・・・これには・・・」
I山登山会は50人いたんだけど、上の連中があまりにも偉そうにするため、半分くらいの会員が辞めちゃったそうである。それで新しい会を作ったらしい。お客の中にはI山山岳会の方もいて、その人の話を聞いたら「辞めるのは勝手だが、好き勝手に言わないでほしい。会の規則や決まりを守れなかったのは彼らの方」との事。どっちが正しいのかわかりません。こういうのってどっちが正しいか正しくないのかは判断できないのが普通です。どっちの言い分も正しいんだよ。うーんこれは山岳会では良くある事だ。内部での派閥抗争、覇権争いだな。このI山登山会の騒動は、尾張の登山愛好者の話題になりました。まあ私がお客にペラペラとよく喋ってたんだが(笑)。
山岳会の分裂や派閥抗争ってよく聞きますね。最近は中高年主体になってきたので少なくなってきましたが、それでもまだまだあります。私にすれば「たかが趣味のサークルじゃねえか。何真剣にやってんねん」です。もし私がどこかの山岳会に所属してたらどうなるだろう。ただでさえ会社とかで揉めてた人間なんだから、たぶん会でも揉めるやろなあ。なんせ私は偏屈で気が強くてわがままで・・・ああ協調性が無い。この性格は直しようがないです。このホームページを読んでる方は私の性格がわかると思います。
技術的にはこれ以上は学ぶ事はないので、別にどこかに入らへんでもいいんとちゃうか。その方が気楽やで。例会なんか出んでもええしな。というわけでどこにも入ってません。誘われたら・・・うーん考えますね。でもそんなとこ無いでしょう。
誤解しないで下さい。山岳会全てがそんな所じゃないんですよ。むしろ最近はきつい会なんてほとんどありません。会の決まりとかをきつくしたら、すぐみんな辞めちゃう。上記の伊勢志摩の山岳会も、分裂とか派閥抗争とかは聞いた事無いです。親切なところばっかりですよ。
「所属しない」なんて大見得切ってるけど、政治家の公約と同じでコロコロ変わる(笑)。そんな時は許してやってください。


●交通アクセス
伊勢志摩の山々への交通アクセスですが、一言で言えば「車がなけりゃほとんど登れない」です。悲しいかなこれが現実だ!かつては志摩半島全体の集落は、三重交通のバス路線でこまめに結ばれてたんだけど、今は赤字路線縮小のため、バスの本数が激減してます。下山して「さあ帰ろう」とバス停に行ったら、バスが無かったよー!なんてことが多々ある。国道・大きな県道以外は使わない方がいいでしょう。
〇近鉄が使えるのは、朝熊山・青峰山・横山・鳥羽の日和山・樋ノ山
〇三重交通バスの本数が多いのは、五ヶ所三山(五ヶ所富士・馬山・切原浅間山)・大山(浜島)
〇国鉄は、音無山。ただし国鉄は本数が少ない。音無山ならバスでもOK。
それ以外は全てマイカーを利用した方がいいでしょう。
これを読んで疑問に思った方がおられると思います。御座の金毘羅山・黒森はバスの本数は多いじゃないかと。確かに「御座行き」のバスは多い。しかし距離が長いため、むちゃ時間がかかるんです。鵜方〜御座間は1時間半かかるんですよ。車なら40分なのに。しかも料金が無茶苦茶高い!(過疎路線なので仕方無いのですが・・・)。鵜方〜御座間は距離は26kmなのですが、料金は1360円です。どひー!大抵の山には専用の駐車場は無いんですが、車を停めるスペースは近くにいっぱいあるので大丈夫!
ちなみに私はいつもバイクです。これだと南勢町の剣峠・鍛冶屋峠みたいな細い林道でもOKです。晴れた日は気持ちいいもんね。


●”まるた”のめった斬りアウトドア読書
このコーナーは私”まるた”の偏った書評(アウトドア関係に限る)を、載せていきます。もし興味があればお読み下さい。古いのもあるので、手に入らないかも。許して。
点数は5点満点で5点・4点は読む価値があり、3点以下は読まなくていです。評価はかなり偏ってるので、あんまり信用しないで。

★「旅旅オートバイ」 素樹文生 新潮社 1999年5月発行 4点
「上海の西、デリーの東」の作者の2作目。すいません1作目はまだ読んでません。嫁さんが1作目読んだ事あるんだけど、「むちゃくさい」と言ってた。くさいとはつまり「青臭い」って事。確かに最初のページで「うわー!青臭えー!」と叫んでしまった。人生を、孤独を、愛を語ってくれるもんな。臭いと言ってもしみじみとした口調語ってるので、どっかの頭の悪いアウトドアライターの書いた本のような薄っぺらさは全然無い。説教臭さも無し。中に書かれてる各種のエピソードは面白いです。温泉宿に長期滞在した話や、道具とかバイクに関する話は結構深みあります。旅に出て孤独になりたい方にはGOOD。最初は臭いと思ってたけど、後の方では結構のめり込んで読んでました。2002年3月14日読了。

★「山歩き山暮し」 西丸震哉 中公文庫 1980年9月発行 2点
コラム集です。それぞれのコラムはうふふと面白いんだけど、今ひとつこの人の本は好きになれません。文章が合わないのかなあ。評判はいいんだけどね。何回か読み返してみたんだけど、どうやらコラムの中のテーマが絞りきれていないところが、俺には合わないらしい。テーマが確定せずあっちこっちをふらふらするのが、この人のエッセイの持ち味らしい(と推測した)。読後感があんまり残らんのよ。2002年3月23日読了。 

★「死者は還らず」 丸山直樹 山と渓谷社 1998年3月発行 5点満点
凄い分析力です。誰がどこで何を間違ったか、事故を起こした山岳会の体質の分析、事故当時の登山者の意識はどうなっていたか、徹底的に調べられてます・・・しかも全て実名!これでよく問題が起きなかったなあ。事故の当事者たちに対して非常に厳しい意見がバンバン書かれてる。山を甘く見てる私も反省。特に印象深いのは、新潟山岳会の分裂騒動(またかよ)に端を発する事故の分析は見事!組織というものに振り回されて、のめり込んでいく人間の馬鹿さ加減を、容赦なくぶった切っている。これには同感だ。山をやってる人にはぜひお勧め。
会社にしろ山岳会にしろ(俺も含めて)つくづく進歩しねえなあ。昔から同じ事やってる。いい加減組織や会社・国家にアイデンティティを求めるのはやめよう。でないと使い捨てにされるぞ。2002年4月15日読了。

★「エベレストを越えて」 植村直己 文春文庫 1984年12月発行 ☆☆☆。
植村さんの本では、「青春を山にかけて」が一番好きです。明大山岳部を出て、アメリカ行きの船に飛び込んで・・・ああ植村さんと、俺を含む大多数の人との違いは、ここなんだな。どーんと飛び出る勇気があるかないかでしょうね。
この本はエベレストに3回挑戦したその記録なんだけど、イマイチ不満なのが、遠征隊につきものの、俺が俺がの「ザイルのTOP争い」が全然書かれてないことだ。そこが植村さんの人柄といえばそうなんだけどね。せいぜい国際隊の時の人種差別を述べてるだけ。人の悪口はぜーったい言わない書かない。だからあれだけ慕われるんでしょうね。日本の登山家で山田昇さんと植村さんだけは、誰もが良く言いますね。個人的には「史上最強の登山家・山田昇」さんが大好きです。
あそうそう、一度八ヶ岳で明大の山岳部の連中を見たことあるんだけど、あいつら化けもんだね。進駐軍の放出品みたいな古くて汚いキスリング(懐かしい!)に、コールマンのツーバーナー括りつけて(笑)、駆け足で斜面上がってくの見た事がある。全くなんちゅう体力してんだよー!

★「魔頂チョモランマ」 今井通子 中公文庫 2001年6月発行 ☆☆☆☆。
同じエベレスト=チョモランマ物です。今井さんは記録魔らしく、むちゃ詳しく書かれてて臨場感溢れてます。結局は失敗に終わるんだけど、シェルパの我がままとか隊員の能力の差とが正直に書いてます。山に登るってタクティクスが重要視されるんですね。行き当たりばったりの俺は反省した。本格的に山をやってる人には面白い本です。

★「大冒険術 僕らはなぜ世界に挑むのか」 白石康次郎 野口健 文芸春秋 
☆☆☆☆☆満点
文句なしに面白い対談集。白石さんはヨットで「最年少単独無寄航世界一周」「太平洋横断世界最速記録」をした人。野口さんは山屋なら誰でも知ってる「世界最年少世界七大陸最高峰登頂記録」の人。とにかくホンネズバズバ。特にスポンサー集め、資金集めの苦労話は面白かったです。公募登山ならエベレストでも200万あれば登れるけど、自分で隊を組むには1500万かかるんだから、スポンサーに頭下げるのは仕方が無いことでしょうね。未だにそんなスポンサー付き登山を批判してる頭の古い人間が、登山の世界にはゴロゴロいる・・・本田勝一なんて輩だ(笑)。

★「とっぴーの日本縦断騒動記」 中村知靖 新風社 ☆☆☆☆☆満点。
面白い!バイクの日本一周の本っていっぱい出てるけど、この本全然気取ったところが無い。旅を語る臭いとこも無し、甘ったるい田舎志向も無し、全然普通です。素直に入り込めます。作者は近くの伊勢市の人らしい。田舎でも放浪旅行してる人がいるんだな。なんだか嬉しくなってきた。さあみんなも「会社を辞めて旅に出よう!」・・・なんて、昔旅行本のフェアをやった際、POPにあおり文句書いたんだけど、社長に「不謹慎だ!」と怒られた事があったな(笑)。
俺も日本一周したいなあ。今までやったのは信州一周ぐらいだ。こんな事若い頃しか出来んよ。やれる機会があればやった方がいいね。欧米のように年齢関係無しにそういう事やれる世の中になって欲しいな。作家の野田知佑さんの本によると、欧米では何年か働いてお金ためて、でカナダのユーコンに来て半年ぐらいいて、そんでもって社会復帰出来る社会だそうだ。しかも中高年が。羨ましいぞー!そう考えたら日本人ってのは可哀想だな。死ぬまで馬車馬のごとく働かされる。

★「ニッポン縦断歩き旅」 クレイグ・マクラクラン 1998年8月 小学館文庫 ☆☆☆☆☆満点
鹿児島から北海道まで、99日間で縦断したニュージーランド人の本。面白い!TVのインタビューで、
「なぜ、この旅に出たんです?」
「自分でも、よくわかりません。〜根が反逆児なものですから」
「はあ、反逆児?」
「ええ、つまり、その……どうせなら、面白い人生を送りたいんですよ。面白いことをして」
シェルパ斉藤のようにクサくは無いぞ!この間読んだ「とっぴーの日本縦断記」に続いて放浪本だ!