標高555メートル。地図には朝熊岳(あさまたけ)、朝熊ヶ岳(あさまがたけ)と書かれてるが、私たち地元民は朝熊山(あさまやま)と言っている。どっちが正しいのかわかりません。たぶん山全体を「朝熊山」と呼び、頂上ピークを「朝熊岳」と呼ぶんだと思います。間違ってたら御免なさい。頂上には水商売の神様の八大竜王社がある。空海が開基したという金剛証寺へ行く道は、江戸時代から「岳参り」として知られており、戦前までは賑わったらしく、あまりにも登る人が多いために、「蟻の岳道」と呼ばれていたとのこと。他にも平安時代の経筒が多数埋まってた経塚群跡、奥の院へ向かう参道沿いの一万本もの卒塔婆の列(不気味なくらい圧巻です)、九鬼義隆の墓、芭蕉の句碑など見所はいっぱいです。でも最近はさびれまくって、頂上のドライブインでも、夏ぐらいしかいっぱいになりません。私は人ごみが嫌いなので嬉しいのですが、大きな声で言うと近所の人に怒られるので、皆さん内緒にしといてください。でもこのドライブインはペンキ剥げて貧乏くさい。もうちょっと何とかならんのかねえ。
登山道は大きなもので朝熊岳道、宇治岳道、丸山道の三種類がある。一番ポピュラーなのが朝熊参道ですが、他のルートも味わいがあるので、挑戦してみてね。尚これ以外にもあと8つルートがあるそうです。地元の‘テクローかい’という登山愛好会さんは、朝熊山をホームグランドにしていて、自ら見つけたり整備したルート、五知,堅神コース他があります。。興味のある方は‘テクローかい’さんに連絡を取ってください。‘テクローかい’さんは毎月100人近い人数で登り、清掃登山もしてるとの事。素晴らしい事です。ゴミが少ないのはそのためなのかー。元旦の初日の出登山もやられてるそうです。私はいつも平日しか登った事がないので、‘テクローさん’や他の地元山岳会の人には、あんまり会ったことがないんですよ。体の大きい熊みたいのがいたら声をかけてください。よく山上広苑の展望台の岩場で、ビール飲んで寝っ転がってます。

朝熊岳道
距離 往復10.6キロ。所要時間 往復5時間
基点は近鉄朝熊駅。駅のガード下に登山ルートマップが掲示されてます。ガードをくぐり南に集落を進んでください。車の場合は駅から800メートル山に入った「であいの広場」(なんちゅう名前だ!)の駐車場に停めれます。駅から「であいの広場」までは朝熊の集落の中の細い道を歩く。この間車の方は対向車に注意。
登山道は「であいの広場」から始まる。道は一本道で迷う事はまずありません。一町(109メートル)ごとに岳参りのための、町石が立てられており、22町(2.4キロメートル)で頂上です。途中のケーブルカー跡は歴史を感じさせてくれます。このケーブルカーは戦争中に鉄材供出のため、取り壊されたそうです。この跡を小さな橋で渡ったぐらいで、ほぼ半分。木々の間から伊勢湾や二見の町の眺望が素晴らしい。町石22町を過ぎ朝熊峠に出る。宇治岳道と合流して、登りはここでほとんど終わり。ここからは尾根沿いの道になります。この合流地点には昔、東風屋(とうふや)という大きな旅館があり繁盛していたそうですが、今は「兵どもの夢の跡」で、廃墟があるだけです。
20分で山頂のある八大龍王社に出るが、味も素っ気も無い新品の社なので、社内の山頂石にデンしたら、すぐに経塚跡群を通って金剛証寺や卒塔婆のある奥の院に行ったほうがいい。山上広苑からの眺めは絶品です。渥美・知多半島・神島・答志島、伊勢湾だけでなく反対側には太平洋も見えます。空気が澄んでいる場合は富士山も見えます。私も一度だけ見たことがあります。(滅多に見れません)

参考コースタイム  近鉄朝熊駅(12分800m)であいの広場・登山口(50分1.8km)ケーブルカー跡(20分600m)22町道標・朝熊峠(20分700m)山頂・八大龍王社(12分400m)経塚群跡(10分300m)金剛証寺(12分700m)山上広苑

宇治岳道
距離 往復16.4km。 所要時間 往復約7時間半
バスで来られるのなら伊勢駅より内宮前バス停まで(三交バス)。バスは本数が少ないので、1.5km離れた近鉄五十鈴川駅より30分かけて歩くのもいいと思います。車の場合は内宮北の駐車場に置いて下さい。とても広く正月以外はガラガラです。おかげ横丁の「赤福本店」横の新橋を渡り、民家や神社関係の道を行くが、コース表示等が無いのでわかりにくいです。私もここで迷いました。神社支庁の手前の林道が登山口ですが、直進する林道と左折する林道がある。左折して斜面を登る道を行ってください。私はまっすぐ行って間違えました。
登山口からの山道は急坂だがとても広い。今は廃線になってるが、バスが通ってた。40年も前のことです。30分ほど歩くと「おばば石」と呼ばれる岩があります。年寄りのおばばに似てるそうですが、私にはそうは見えません。10分ほどで楠部峠に着く。昔はここにお茶屋さんがあったそうですが、今は影も形もありません。ここらぐらいから稜線沿いになるので、非常になだらかです。右手には神宮林がありその間を伊勢道路が走ってるのが見えます。登山口より1時間40分ほどで伊勢志摩スカイラインをまたぎ、しばらく進むと、真珠王御木本幸吉の別荘跡があります。今は石垣が残ってるくらいだけど、よくもまあこんな不便な所に別荘を造ったもんだ。金持ちのやることはようわからん。すぐに朝熊峠に着き、朝熊岳道と合流。ここからのガイドは「朝熊岳道編」と同じなので、そちらを見てください。
このルートは尾根沿いなので非常にゆったりと歩けます。でも日光をさえぎる物が無いので夏は大変です。一度冬に登ったのですが、風が強くて寒かったなあ。帰りは「赤福本店」やおかげ横丁に寄ったり、内宮を観光したりできます。帰りに赤福本店でできたての赤福を、暖かいお茶と一緒に食べる・・・すんません私の趣味です。話外れるけど、できたての赤福はうまい!でよく折り詰め入りのもの貰うんだけど、三分の一ぐらい食べて、餅とあんが硬くなって結局捨ててしまう。考えたらあれだけの量の赤福食ったらえぐいわなあ。せいぜい2〜3個が適量だ。

参考コースタイム  内宮前バス停(8分500m)新橋(10分600m)登山口(2時間半5.6km)朝熊峠・合流地点(20分700m)山頂・八大龍王社(12分400m)経塚群跡(10分300m)金剛証寺(12分700m)山上広苑

丸山道
距離 往復21.2km。 時間 往復6時間
基点は近鉄加茂駅。JAの向かい側に九鬼岩倉神社があるが、ここはかつての九鬼一族の田城跡だ。神社前の信号を西に渡り、小さな橋を越えて河内川沿いの道をゆっくりと歩いていく。車で来た場合は、この辺の路肩に停めてください。私はいつも加茂中学を過ぎたあたりの空き地に駐車します。道には近畿自然歩道の看板があるので判りやすいです。加茂中学校、慶蔵院、石段のある河内神社を過ぎ、しばらくして右折して林道に入る。畑を過ぎると‘彦瀧さん’と呼ばれる祠があり、川の水が飲めるようになってる。参道の石段を登り、うっそうとした森の中を進む。石段は結構きつい。山門をくぐり庫蔵寺に入る。このお寺は千年の歴史を持ち、重要文化財にも指定されてます。寺の右手を進み舗装された林道に出る。しばらくすると木立の中から金剛証寺の墓地、「鳥羽レストパーク」が見えてくる。山肌をごっそり削って見苦しい。墓地内の道に出て斜面を少し登ると、左折して登山道に入る。道は舗装されたりされなかったりだ。道は緩やかで歩きやすいです。この間ここを歩いてたら、この細い林道の途中車が何台も停まってた。近くで犬と人の大きな声が聞こえ鉄砲の音がした。猟場になってるらしい。やだねえ全く。流れ弾に注意しよう。石段が現れ、途中「賽の河原」と呼ばれる水場があるけど、朝熊山ドライブインの真下になるので、飲まないほうがいいと思う。周りは深い森。杉が多いので花粉症の人は春は大変だ。伊勢市南部の神宮の森がきれいに見える。随分昔伊勢神宮の森にも課税しようという意見があった。神宮側が猛反発してこの話流れた事があった。オウムみたいな宗教を税金優遇するのは腹立つけど、神宮の森に課税するのは反対だ。もし課税したら乱開発ではげ山になっちゃうでしょう。私は宗教はあんまり好きじゃないけど、この神宮の森は評価します。
スカイラインに出たら右折して金剛証寺目指してください。あと一息で頂上です。

参考コースタイム  近鉄加茂駅(10分500m)九鬼岩倉神社(30分2.8km)登山口・市道合流点(5分800m)彦瀧さん(40分800m)丸山庫蔵寺(20分1..5km)墓地・鳥羽レストパーク(70分4.2km)金剛証寺

写真は鳥羽市加茂から見た朝熊山

昨日(2004年5月)に、半年ぶりに山伏峠から朝熊山に登ってきました。季節が5月だったので、頂上のドライブインでは、「さつきまつり」をやってました。祭りと言っても屋台が出るわけではありません。たださつきが当たり一面に咲いてるだけ。でも綺麗です。
このさつき祭りはあんま知られてなくて、今日もほとんど人がおらず。期間は5月中です。
とまあ、ほのぼのと記事を書いてたら新聞に「朝熊山で毛布に包まれた変死体発見!」という記事が出た。背中に一面刺青をした男性の死体が、山菜取りの阿児町の男性により発見されたらしい。山菜見つけずに死体を見つけた(笑)。全く神聖な山も段々俗化していくようですね。
ひゃははは、朝熊山で面白いものを見つけました。左の写真は金剛証寺内にあった「おちんこ地蔵」ってとんでもない名前のお地蔵さん。子宝が授かるそうです。ありがたやありがたや。少子化に悩む日本の救いの神さんです。
右の写真は、ちょっと読みにくいんですが、「大正初期に真珠王御木本幸吉はかごで朝熊山に登り、ここから見た美しい景色に感動して、自らこの碑を建てました」
・・・・・・・・・・・・自分の足で登ったんじゃあないのかよ・・・・・・・・・・・・しかも英文の説明まであるぞ・・・・・・・・・・・・人間成功すると時々とち狂った事するけど、これが良い例ですなあ。うははは。