車を参道終点の駐車場に停める。
この天開山泰運寺は三百年の歴史を持つ曹洞宗の禅寺で、八角形をした珍しい形の梵鐘は、県の指定文化財ともなっている。 車を降りて参道を少し戻り、鉄板の敷いてある橋を渡って谷沿いの踏み跡に入る。 堰堤を左(右岸)から巻き越えると対岸へ渡る踏み跡が見えるが、これは渡らず、そのまま谷の左側を進む。 十分少々歩いたところで、巻きテープに従って対岸へ渡る。 そのまま数分歩くと、踏み跡は雑木林の中へ消えていく。 ここで道に迷ってしまう人が多いので、山歩きに慣れていない人は、一人では行かない方が無難であるとの話である。 話に聞いていた通り、上に見える大岩を目指し、谷右側の斜面を20m程登る。 大岩にたどり着くと、岩を取り囲むように踏み跡が付いている。 踏み跡をたどると、程なく夫婦滝が樹幹から見えた。 数段に分かれる段瀑であり、見上げると、その落差は50mはありそうである。 下には斜瀑が数段に渡って続いており、総落差は80m程となろうか。 夫婦滝の名のごとく、中段(上写真)では二つの流れに分かれる分岐瀑となっている。 かつては水量が多く、泰山寺に参拝する人の目を楽しませたというが、周囲の植林が進み、水量が激減してしまった今となっては、その姿は見る影もない。 三重でも十指に入るほどの落差を持ちながら、この滝が人々から忘れ去られつつあるのは、そういった理由のようである。 (2004年12月13日) |